こんにちは
私は読書を趣味としているんですが
いかんせん本から離れる期間が長いです
小学生の頃は毎日のように
本を読んでいたものですが
中学生になり携帯を手に入れてからは
娯楽の対象が本から遠ざかってしまい
高校生になっては1ヶ月に一度読むかどうかというレベル
大学生になってからも読む頻度は向上せず
最近増えたとは言っても、1週間に一冊程度
買ってけど読んでいない、いわゆる
「積読」状態の本も一冊二冊ではありません
しかしそれでも本屋さんに行ってしまうもので
今回は以前から気になっていた本を
思い切って購入してみることに
それは町田その子さんの
『52ヘルツのクジラたち』
2021年の本屋大賞受賞作であり
今年の3月に映画公開も控えています
傷を抱え、東京から海辺の街の一軒家に移り住んだ貴瑚。 母親から虐待を受ける少年“ムシ”との出会いが、自分を救い出してくれたアンさんとの日々を呼び覚ます。
キネマ旬報webより
舞台は大分県
とある事情で都会から移住してきた主人公の貴瑚
人との関わりをできるだけ避ける彼女の過去にはどうやら問題がある様子
だんだんとその過去が明らかになり
彼女と共鳴する部分がる少年
ムシとの繋がりの中で様々なことが思い浮かぶ
この本を読んで私が感じたのは
「充足」
という言葉
貴瑚とムシは家族からの愛情を受けていません
貴瑚は家族から
都合のいい奴隷のように扱われます
彼女の実母と義父、そして義弟
この3人だけが家族で
貴瑚はその中には含まれていない
居場所はトイレの中
ご飯も満足に与えれらない
幸せな家族のクリスマスの残飯を食べ生きていく
なのに義父に介護が必要になると
それは貴瑚の仕事
暴力を受けても、何も救われなくても
それでも貴瑚は働き続ける
ただ、母からの愛が欲しくて
湊かなえさんの『母性』を彷彿とさせるような
残酷なまでの愛情の欠乏
だけど愛情を必要とせずにはいられない
一方のムシも母から暴力を受ける
母からタバコを舌に押し付けられ
彼は喋ることもできなくなってしまう
そんな二人は運命か、出会う。出会ってしまう
誰にもわからないはずの二人の傷
二人にはお互いの誰にも見えない苦しみがわかる
でこぼこだらけの二人
救えるかはわからない。でも二人は寄り添う
それがどれだけお互いに救いであることか
私の感想としてはこんなもの
他の人の意見を知りたく検索してみると
肯定的なものはこのようなもの
切なくなるような物語だろうと少し身構えて読み始めましたがすぐに引き込まれてページを捲る手が止まらずほぼ一気読みでした。
読書メーカーより
逆に否定的なものももちろんあり
謎のリーダービリティの高さのおかげでさくさく読めたんですが、面白かったか、と言われるととても微妙でした。なんというか、ザ・自己憐憫の小説という感じで主人公が苦境に立たされている場面や過去を乗り越えようともがいた挙句に誤った選択をする場面とか、見ていて普通に「まぁどれもこれも自己憐憫から抜け出せないあなたの力不足よね」と思ってしまい、冷めた気持ちになりました。設定に原因があるというよりさらっとした書き方のせいかなと思います。溢れた悲惨を無理やり温かい再生の物語として消費されても私の心は動きません。
読書メーカーより
確かに「感動を作っている」印象はありましたが
私も全体として肯定寄りでした
悲しい場面が多いけれど
時折訪れる人の暖かさが沁みる
やっぱり人はいつか救われる、そんな時が来る
そんなお話でした
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